Book Review Title

「挑戦せずにあきらめることはできない」 (マイケル・ジョーダン著、ソニーマガジンズ)

はじめに

なんと今日から私のコーチ人生に影響を受けた本を皆さんに紹介する日記を開始します。 というのは結構皆さんからの質問で「コーチする上で役に立つ、良いホッケーの本を紹介してください」っていうのがあるからです。

私はそういう時必ず「ホッケーよりもまずコーチングそのものを学んでください」といって、ホッケーと直接関係のない本を紹介します。結局のところ「我々はホッケーではなく人間を教えるのだ」という言葉の通り、人間を教える技能無しに良いコーチになれるわけがないからです。まずは人に影響力をもつこと、それがなければどんなに素晴らしい理論も、練習も機能しないからです。

私は努めてホッケー以外の文献から、コーチングそのものについて学ぼうとしています。この日記の中で不定期ながら私のコーチ人生に影響を与えた名著を紹介していきます。

どうも日本では野茂や伊良部の大リーグ移籍騒動で半分悪役として活躍したダン野村氏のイメージから代理人=胡散(うさん)臭い人、という印象を持っている人が多いようですが、スポーツビジネスが盛んな北米やヨーロッパではとてもメジャーな存在です。(しかし実際ヤクザまがいの代理人も数多く存在し、恐喝に近い事件もおきていますので。念のため)といってもなかなか代理人の実際の仕事をイメージできないという人々のために書かれた本がこれです。

「挑戦せずにあきらめることはできない」

というわけで今日は20世紀のアメリカを代表するアスリート、マイケル・ジョーダンの著書を紹介します。ジョーダンは言わずと知れたNBA史上最高の名選手で、NBAを北米でNo.3のプロスポーツに押し上げた功労者です。全盛期にはアメリカの子供の「最も尊敬する人物ランキング」でクリントン大統領、自分の父、母を押しのけて堂々の1位になったとか。これってすごいけど、ちょっと悲しいぜ、大統領、そして親たちよ...。さてさて、内容はというと、わずか45ページの本ながら、さすがは神と呼ばれた男の言葉、カンドーできます。

「目標」 「恐怖心」 「責任」 「チームワーク」 「基本」 「リーダーシップ」 と目次を並べるだけでも、言わんとしていることは伝わります。

MGCT"Michael Got Cut Too.=マイケルも補欠だった"

マイケルの高校時代の有名なエピソードから始まり、大学からNBAに至るまでの経験をシンプルな、しかし力強い言葉でつづりながら、高みを目指して生きていくために必要なことを教えてくれます。

「ステップ・バイ・ステップ。どんなことでも、何かを達成する場合にとるべき方法はただひとつ、一歩ずつ着実に立ち向かうことだ。これ以外に方法はない」

なんて、学校の朝礼で校長先生が言いそうな言葉ですが、彼の圧倒的な成功体験の上にこれを語られると、ハーその通りでございます、と納得させられてしまうのです。 というか、さすがと思えるのは、とにかく文章がシンプルにまとめてあることです。ウンチク垂れ流しの人生論では決してなく、確実に真理を見抜いた一流の人間の英知が、切れ味鋭く読み手の心を切り裂く、ってな感じです。どうです、読みたくなったでしょう。こんなに薄いのに1,000円、でも迷わず買いましょう。

挑戦せずにあきらめることはできない―マイケル・ジョーダンのメッセージ