Question

Q11:大学生から始めたプレーヤーばかりのチームはどうしたら良いですか?

今大学2年生で、大学に入ってからホッケーを始めました。ポジションはゴーリーです。練習としては週3回陸上でトレーニング(坂道ダッシュやクロスカントリーなど)を行い、週に1回八王子のスケートリンクで練習をします。自分のチームには監督がいなくて、練習も自分たちで毎回考えています。チームのメンバーはほぼ全員大学から始めています。チームの状況は、FWの力が弱く得点力不足に悩んでいます。また戦術的なことでも、パスがつながらない、ニュートラルで動きがわからず固まってしまう、アタッキングゾーンでうまく攻めれないなど様々な問題があります。ホッケーとしての形にならないこともしばしばあります。いつもゴールから見ていてもどかしく感じます。週に1回の練習で強くなることは難しいとは思います。しかし、秋のリーグで負けたくはないので、陸上のトレーニングでどのようなメニューの練習をすればいいのか教えてください。また週1回の氷上練でどんなメニューをしたらいいのですか。(ちなみに時間は2時間です)またGKの柔軟の仕方、陸上でのトレーニング、(自分のチームは、氷上ではGKは別メニューはなくプレイヤーと同じメニューです)その他にやったほうがよいトレーニングなど教えていただけるとありがたいです。 @追加 自分のチームの氷上の練習メニューを乗せときます。・・周回(30秒×2)サークル(5個円を一周ずつ)F.B.T×1ロシアンサークルF.B.T×1パックハンドリング20秒×5(この間ゴーリーは個人アップ)シュート練(あわせとブラインド笛のなるまで)ローリング コーナーからの1-1、2-2、5-5(アタッキングのフェイスオフからスタート)が練習メニューです。ちなみにインターバルはありません。
(悩める大学ホッケー選手)

Answer

実は私も筑波大学時代は同じような境遇の中必死で努力した思い出があります。これは日本のほとんどの大学ホッケーの現状でしょう。信じられないかもしれませんが関東大学1部のチームであっても、監督やコーチが毎回の練習に顔を出すチームはまれで、ほとんどの練習を学生が試行錯誤しながら考え出しているという有様なのです。競技スポーツに指導者は不可欠ですが、無い物ねだりしても仕方ありません。また、わけの分からないつまらない指導者や口だけのOBを招いて不快な思いをするよりは(こういうチームも多々ありますね)、ホッケーを徹底的に勉強し、自分に与えられた条件の中で最高のチーム造りを目指す方がはるかに価値があることだと思います。なんといっても学生には金こそありませんが「時間」がたっぷりあるではありませんか。しっかりとホッケーに集中すれば、かなりの成果が望めます。 さてさて、質問が多岐に及んでいますが、どれから答えましょうか。。

  1. 「氷上練習の少ないチームの陸トレはどうすればいいのか?」
  2. 「週1回の氷上練習で何をすればいいのか?」

これらは対の質問ですのでこれを先に答えて、最後に「ゴーリーの陸トレは?」について少し触れたいと思います。

1. 氷上練習の少ないチームの陸トレはどうすればいいのか?

まず、氷上練習不足を陸トレで完全に補うことはできない。ということを理解して下さい。アイスホッケーを上手くなるためには、どのような形であれ、氷上練習を増やすことが不可欠です。例えば土日を利用して2泊3日程度の短期の合宿をシーズン中にも数回実施する、夏期合宿に入る前にはスケーティングと陸トレのみの合宿をするなど、工夫の余地はあります。 それでもやはり、陸トレが必要です。氷上練習が少ないチームの陸トレは、単調に体力を付けているだけではダメです。

「氷上練習でポイントを絞って練習できるために、陸上でできることはなるべく陸上でしておく」という趣旨で行われるべきでしょう。具体的には、、、

a. 基礎体力、運動能力を上げる

いわゆる「きつい陸トレ」です。これは通上陸トレの目的とされていることですが、陸トレに命を懸けなければならないチームはなおさら重要な課題です。例えば技術的に自分たちより少々格上のチームであっても、自分たちが体力的に上回っていて、100%の力で1試合戦うことができれば、それだけで勝機が見えてくる場合があります。「下手だけど、肉弾戦が得意で、しかもバテない」これだけでも強みになります。(この場合、フォアチェックガンガンの力任せ&守り中心の試合で勝負をかけるということになります)ですから、心肺機能を高める持久力系の練習を夏の前半にみっちり行うことは必須です。そして筋トレによる基礎的筋力の増強。重いウェイトをゆっくり上げる系のトレーニングを、これまた夏の前半までにみっちり行い、とりあえず筋肉を付けて体重を増やし、肉弾戦で負けない体を作ります。夏の後半からは軽いウェイトを素早く上げるトレーニングに徐々に切り替えていきます。これでとりあえず、技術力を体力である程度補う戦い方をする準備ができます。瞬発力や機敏性を養うトレーニングも可能です。バスケやラグビー、サッカーの陸トレを参考に、前後左右への動きを高めるトレーニングを考えてみましょう。

b. 氷上練習を補う技術練習、戦術練習をする

そうはいってもやはり技術力がなければ勝負になりません。陸上でできる技術系の練習はやるべきです。例えばスティックハンドリング。これはゴルフボール一つと、ある程度平らな地面があればできます。ゴルフボールのきびきびした動きは氷上でのパックの動きにかなり近いので練習になります。様々な種類のハンドリングを練習しましょう。シュート練習も陸上で可能です。まずゴルフや野球用の練習ケージ、もしくは普通に売っている網を鉄棒に結びつける、などの工夫でシュート用のケージを作成します。後は滑りやすい大きめの板を用意して、普通のパック、もしくはローラーホッケー用のパックを使って様々なシュートを練習します。的を作って狙いを定める練習など、工夫はいくらでもできます。 ブレイクアウトやフォアチェック、ディフェンディングゾーンカバリジ(いわゆる守り)の練習も当然陸上でできます。ハンドボールやフットサル程度のグラウンドで、サッカーのように足を使うか、ハンドボールのように手を使って、(ルールはホッケーに準拠)擬似的にシステムの練習をしてみます。陸上だと氷上に比べて、スケーティングミスやパックコントロールミスがないので、システムを理解することが容易になります。最初はゆっくり、だんだんプレッシャーを増やして実践に近づけていきましょう。氷上練習前に、システムの確認を陸上でみっちりやっておけば、氷上練習でシステムを導入するときに非常にスムーズにいくでしょう。 もちろんインラインホッケーなどで技術力、システム共に高めることが可能です。

c. ビデオミーティングや勉強会による頭のトレーニングをする

これは頭のトレーニングです。自分たちの練習や試合をビデオで撮り、目標としているプレーが達成されているかどうかを確認する、新たな課題を探す、統計を採るなどができます。NHLや日本リーグの試合を参考にして、レベルの高いホッケーから学べることも無限にあります。NHLの試合を一つ見て、「個人技」「攻撃」「守備」「ゴーリー」など、分担してレポートを書くなどをすると非常に勉強になります。練習前に、練習内容、完成させたいシステムなどについて、詳細なミーティングを行うことで氷上練習の際の無駄な時間を減らすこともできますのでこれも重要です。

2. 週1回の氷上練習で何をすればいいのか?

週1回2時間、これでは足りないことは分かり切っていますが、そうと分かればいかに無駄なく練習を行うか、これに尽きます!!(ちなみに私はカナダでホッケーを教えていましたが、相当高いレベルの子供たちでも、一回50分の練習を週2回しか行っていませんでした。いくらカナダでもこれは少なすぎます。びっくりすると共に、最近のカナダのプレーヤーの技術力低下の原因が分かりました)

> 追加 自分のチームの氷上の練習メニュー
> を乗せときます。・・周回(三十秒×2)サークル(5個円を一周ずつ)F.B.T×1ロ
> シアンサークルF.B.T×1パックハンドリング20秒×5(この間ゴーリーは個人アップ)
> シュート練(あわせとブラインド笛のなるまで)ローリング コーナーからの1ー1
> 2ー2 5ー5(アタッキングのフェイスオフからスタート)が練習メニューです。
> ちなみにインターバルはありません。

参考に載せていただいたあなたのチームの練習メニューですが、、、はっきり言ってこれではダメです。まずは練習の種類が少なすぎます。2時間で約8種類の練習では1種類当たりが15分、、、長すぎます!!一つの練習に15分も集中できるものではありません。予想するところ、練習のバリエーションがきわめて少ないのではないでしょうか??たった一回の練習ですから以下のことを注意して無駄のない練習にして下さい。

a. 技術系の練習と戦術系の練習をバランス良く組み合わせる

氷上が週2回あれば、技術練習中心の日と戦術練習中心の日に分けることができますが、1回ならば両方をバランス良く組み合わせることが大事です。夏から秋にかけては技術練習と戦術練習の日を7:3くらいで、秋から冬にかけては5:5から4:6で行うくらいが良いでしょう。試合前とかには3:7でも良いですが、技術練習を継続していかないと下級生が育たなくなるので、技術練習を怠らないことも重要です。

技術練習とは主に1人でするスケーティングハンドリングやシュートの練習ですが、スケーティングはこの中でも最も重要です。1-1、2-1、3-3などの練習はポイントの置き方によって個人技術の練習にも、システムの練習にもなります。何を、どうするための練習なのかというポイントを、練習が始まる前に全員が理解しているようにして下さい。

b. 氷上全体を効率よく使う。時間も効率よく使う

リンク全面を使ってする練習ばかりしていませんか??一度に動いている人がたった2人くらいの練習ばっかりしていませんか??それは時間と氷の無駄です!!特にスケーティングやハンドリングやシュートなどの個人技術は、3分の1面もあれば十分です。リンクをブルーラインで3つに区切って3面に分け、各面に8人ずつくらい配置し、シュート練習、スケーティング、パスなどのように3つの練習を同時に行い、8分おきくらいにローテーションしていけば、24分で3つの練習を、ほとんど全員が休むことなくできます。個人技の練習や簡単なシステムの練習は全面を使わずに3分の1面、2分の1面などを使い、氷上でなるべく多くの人が常に動いている練習を組みましょう。

マネージャーがいるならば、ビデオによるフィードバック、練習中のゴーリーのセーブ率、パスやシュートの成功確立などの統計を採って次回の練習にフィードバックできます。できることはまだまだまだまだたくさんあるはずです。 最後に、、、「メニューが練習するのではなく、プレーヤーが練習する」のですから、どんなに素晴らしいメニューがあっても、全員が目的を理解し、正しく行わなければ上達は望めません。頭を使って、良い練習をして下さい。

3. ゴーリーの陸トレは?

これは書き出すときりがないのですが、ここでは簡単に答えておきます。 まず、基礎的な体力アップの陸トレはプレーヤーと同様に行って良いでしょう。筋トレは下半身中心にパワーアップを図って下さい。レッグプレスや、バーベルを持ってのスクワット、軽いバーベルを持っての跳躍、プライオメトリクストレーニングが有効です。上半身はそこそこ筋力が付いたら後は徹底して瞬発力を付けて下さい。 次に目のトレーニングです。いわゆるビジョントレーニングはゴーリーにとって非常に大切です。英語版の記事を参考にして下さい。また市販されているビジョントレーニングの本もたくさんあります。アイスホッケー用にアレンジすればいくらでもトレーニングできます。メディシンボールを利用した上体の筋力強化&バランストレーニングも英語版に載せてあります。

ストレッチも非常に重要です。股関節周辺、肩、膝、足首など、柔軟性を増すトレーニングをして下さい。これも市販のストレッチの本がいくらでも手に入ります。

経験者も、頼れる指導者も、金持ちのOBもいない学生ホッケーは、確かに大変です。でもそこには、自分たちで勉強し、考えてチームを変えていくことのできる自由があります。私は小学校6年生からホッケーをしていましたが、大学に入り、大学から始めた人たちが、大変な努力をして、かなり上手いホッケープレーヤーになっていく姿を見て、相当感動しました。やればできるのです!!確かにホッケーの資料は少ないですが、サッカーやバスケや一般的なトレーニングの資料はそこら辺の本屋さんでいくらでも売っています。NHLのビデオだってケーブルテレビやなんかで手に入ります。 考えて、自分たちの力で工夫して、チームを作っていって下さい。HLJの教本も必ず役に立つはずです!

それでは。