Question

Q110:本番に弱い理由はやっぱりメンタル面?

僕は練習の場合よくうまくできるんですがいざ本番っていうときにうまくできません。
メンタルめんなのかよくわかりません。解消法はありませんか?
(悩める11歳)

Answer

練習で上手くできることが本番でできないのは、実はとても普通のことです。特に新しく練習したような個人技を、すぐに試合で使えるような人たちを、天才というのです。天才はめったにいないから天才なのです。

練習で1対0のシュートを決めることができたとしても。本番になれば本当にブレークアウェイ(いわゆるノーマークのことですね)になったときでも後ろから激しく追われますから自分のタイミングでシュートを打つのは難しいものです。DFと1対1になったとしても、相手は練習のときよりも激しく向かってきますし、その一人を抜いても次の相手が襲い掛かってくることを考えると、やはり自分のタイミングでテクニックを出すことは至難の技です。

そうなんです。ホッケーはリンクの上に敵味方あわせて12人で戦うスポーツなのです。練習のときから12人で激しく戦うことを意識していなければ、練習でうまくいっているプレーも試合で使えないことが多いのです。

・いつも試合の状況を考えながら練習すること。
・できる技はスピードを上げて行なうこと。
・得意技を磨くだけでなく、苦手なプレーを克服すること。
・個人プレーではなく、敵と戦い、味方と一緒にプレーすることを考える。

こういうことを意識して練習することが、試合で実力を出すための一番の方法です。

コーチングの側から考えると、純粋なスキルの練習をするとき以外は、必ずなんらかのプレッシャーをかけながら練習させることが大事になります。

・単純なブレークアウェーのシュートではなく、少しはなれたところからバックチェックをさせること
・基礎技術がついてきたら1対0や2対0、3対0等の練習を最小限にして、相手のある練習を増やすこと。
・守りの要素を練習に必ず入れること。
・シュートで終わる練習を減らし、バックチェックやパスなどで終わらせる練習を増やすこと。

そして、練習でやっていることが試合でいつもできるようになるためには、何ヶ月かかかることがあるということを覚えておいてください。プロの選手が何気なく決めているシュートやパスは何千回もの練習の積み重ねなのです。

最後に、、、

なにか壁にぶち当たったとき、簡単に「メンタル」という言葉を使うべきではありません。

小学生までもが、メンタル面という言葉を、まるでカップ麺か何かのように簡単に使ってしまうというのは恐ろしいことです。もちろん彼らのせいではなく、メンタル面という言葉の乱用、過剰評価に原因があるのです。

「メンタル」というだけでは、問題が何かさっぱり分かりません。「経験」や「体力」という言葉も同じです。スポーツのほとんどの問題は技術不足が原因です。技術を試合で出せていないとすれば、それは技術をゲームに使うための「ゲームそのものの勉強が足りない」ということです。また、教える側からすれば、単純な技術練習を、どうやってゲーム形式の練習に反映させ、さら実戦のプレッシャーに当てはめるように教えるか?を考えるべきであり、経験・体力・メンタルという名の思考停止をなるべく回避するべきです。

もし本当に経験・体力・メンタルが要因であるならば、それを具体的に示し、改善する練習方法や運営方法を考えるべきです。たしかに闘争心で技術を凌駕する伝統を持った国やチームもあると思います。が、そういう組織には必ずその闘争心を育てる環境や教育方法があるものです。また、メンタルタフネスやスポーツ心理学はしっかりした研究とデータに裏打ちされた科学であり、解説者や評論家のウンチク、ファンやチーム関係者のボヤきと一緒にすべきではありません。

難しい問題にも、たいてい解決方法があります。だけどそれは「メンタル面」という簡単な言葉ではありません。

それでは。