Question

Q15:ブレイクアウトの基本は?

パック奪回後、ブレイクアウトの基本について教えてください。
(希望のDF)

Answer

ブレイクアウト成功の3箇条:

  1. 早いタイミングで、
  2. 安全で効果的なオプションを見つけ、
  3. 確実なパスを出しパックキャリアをサポートする。

ルースパックをものにするところがだいたいブレイクアウトの始まりになるのですが、ここで速やかにパックを自分のコントロール下に置くことが最も重要です。そしてとにかくなるべく早く攻撃に移ることです。

「時間は常に守備に味方する。攻撃に時間をかければ、守備が整ってしまう」

これはあらゆる球技に共通の原則です。さて、早いタイミングでパスをするとはいえ、敵がいるのにゴール前を横切るようなパスは避けたいものです。安全なオプションを見つけるためには、ルースパックを取る前に周りを確認し、パックを取ってからも周りを確認することが必要になります。そして、パックキャリアのスティックのブレードに向かって取りやすいパスを出します。これで安心してはいけません。パックがディフェンディングゾーン(以下DZ)を出るまではパックキャリアの背後でいつでもルースパックを取り返せるようにサポートしていなければなりません。つまり、ブレイクアウトのコツとは、
(パックを取る前に)見て
(パックを取ってから)見て
(パスを出すときに)見て
(パスを出してからも)見る
ことなのです。ここからは実戦的なブレイクアウトのパターンを見ていきます。

まずはファーストブレイクアウト(速攻)から。
ブレイクアウトというとほとんどの人が「ゴール裏を回ってウイングにパス」と考えてしまいがちですが、これは大きな間違いです。速攻第一!空いている人がいればパックを取った瞬間にパスです。最近はどのようなレベルのホッケーでも守りの意識が強くなってきていますので、ぐずぐずしているとたちまちフォアチェックされてしまいます。守りが整う前にパス!
図1はファーストブレイクアウトのオプションの例です。特にボードパスなどは使えます。もちろんこれはチーム全体が速攻を意識していないと成り立たないプレーです。

Figure 01

次はオーソドックスなウイングへのブレイクアウトです。
図2ではD1が一応ゴール裏を回っていますが、回る必要はさほどありません。パックを取った瞬間に、空いているウイングのいる方向にブレイクアウトすればいいのです。Cがゾーン深くまで戻りウイングのすぐ近くまで近づいてあげていることにも注目して下さい。これはDZ内で長いパスを通すというリスクの高いプレーを減らし、短いパスで確実に通すためです。同様の理由でW2もDZ中央付近まで入ってきてW1とCをサポートしています。ただしW2はパックがDZを出たら素早くボード側に開きます。これで相手の守備を拡散させ、守りにくくさせることができるからです。 あ、そうそう、D2がフォアチェッカーをスクリーンしてあげてD1をフォアチェッカーから守ってあげることも大事です。

Figure 02

次は相手がW1にピンチしてきたときです。ここは落ち着いてボードパスでCに通します。(図3)
パニックになってDZ真ん中にパックを出してしまい敵にパックを取られて逆襲されると(ギブアウェイからターンオーバー)最悪です。CがW1の近くにいればこういうプレーもやり易くなるのです。パスが通るとCがボード際を走ることになるのでW1はレーンチェンジをして中央に走り込みます。

Figure 03

最後に相手が素早いフォアチェッカーを送り込んできたときです。(図4)
D2は今さらフォアチェッカーをスクリーンしに行っても遅いので速やかに逆サイドのコーナーに行ってゴール裏からD-Dパスを受けてW1につなぎます。

Figure 04

以上すべての例はディフェンスからW1につないでいますが、W1にフォアチェッカーが来ていれば、速やかにCにつなぐことも考えて下さい。まだまだバリエーションはありますが、まずはこういう簡単なブレイクアウトを確実にできるようになるまで練習してみて下さい。

もっと詳しく知りたい方は、「新世代のアイスホッケー -システム編-」を是非ごらんください。

それでは。