Question

Q98:なんで体を押さえるの?

よく、ボード際でのフォアチェックの際に『相手の体を押えろ。そうすれば近くにいる仲間がフォローに行く。』というふうに言われます。相手の体にチェックして倒せれば、しばらくの間、人数的に有利になるので『体に』というのは理解できる気がしますが、相手の体を押えるだけでは、人数的には敵も味方も『マイナス1(5対5→4対4)』になるだけで、しかも『仲間がフォローに行く』のは敵も同じことなはずです。相手の体をボードに押えつけても決して有利な状況を作れるように思えないのですが、その必要性・メリットについて教えてください。
(DUKE)

Answer

よく言われることにハテと疑問を投げかけたくなる、なかなか本質的な質問ですね。

フォアチェックやディフェンディングゾーンカバリジにおいて、ボード際でパックキャリアの動きを止めるのはなぜか?いくつかの理由があります。

1.直接相手からパックを奪うのが難しい
もちろん相手からパックを奪ってそのまま攻めに転ずることができれば「パックを取って、相手を置き去りにできる」わけですから数的優位になってサイコーです。しかし、残念ながら同じようなレベル同士で試合をしていると、たいていボード際で簡単に相手からパックを取ることは(逆に抜ききることも)難しいものです。また、パックを取りに行って、パックにも体にも触れずに抜かれてしまえば、逆に数的不利を招くことになります。ですからまずはパックキャリアの体を止めることでルースパックを作る必要があります。こうすることで少なくともパックの動きを止めることができます。

2.パスアンドゴーを防ぐ
さて、ご指摘のようにルースパックを作ったとしても「味方がフォローに来る」とは限りません。ルースパックを相手と取り合うことになり、またそこで体を押さえてルースパックが生まれ、、、とどちらかのチームが明確にパックをコントロールするかクリアするまで1対1がしばらく繰り返されるのがホッケーなのです。しかしここでもし一人目のチェッカーが相手の体を3秒間でもボードに押さえず、相手がルースパックを取った場合、自分が押さえておくべきだった相手がすぐに攻撃に参加してしまうことがよくあります。ですから、相手を少しの間でも押さえておくことが重要になるのです。フィニッシュチェックや賛否はありますがアフターチェックが推奨されるのも基本的にパスアンドゴーを防ぐためです。

3.カバリジの混乱を防ぐ
上と関連するのですが、フォアチェックやカバリジで、自分が一度プレーした相手の体を押さえて、そのまましばらくマークし続けることで「1対1」の状況を維持することができ、守備が混乱しにくくなります。

ということで、守備(フォアチェックも守備です!)においては相手の体にプレーして押さえることで「数的に不利な状況を作りにくくなる」わけです。まずは安全第一です。そして1対1の局面を打開する個人技や守備のミスをついて数的優位を作る、、、ちょっとつまんないですが、これが現代ホッケーのようです。

それでは。