ソチ・オリンピック最終予選

アイスホッケー日本女子代表が、ついに自力でオリンピック出場権を獲得し、歴史の扉を開きました。選手および関係者の皆さん、本当におめでとうございます!本戦はよりいっそう厳しい戦いになりますが、とりあえず下位グループでドイツとロシアを倒せば決勝リーグに進めるので、それは全然不可能な目標ではありません。ちなみに女子アイスホッケーは、過去のオリンピック、世界選手権、U18世界選手権すべての歴史上、優勝したことがあるのはカナダとアメリカだけという、、、かなり偏った戦力図になっております。逆に言えばその下のグループはそこまでの実力差はなく、銅メダル争いは開かれていると思います。

さて、男子では近年国際リーグEBELを引っ張り自力を上げてきたオーストリア、小国ながら旧ソ連の伝統を受け継いで安定した力を持つラトビアの他、人口約200万人、ホッケー競技人口1000人以下で、成人男子の登録人口が140人程度の小国スロベニアがオリンピック出場を果たすという、衝撃的な出来事がありました。

スロベニアはGDPでも世界75位と、経済的にも厳しく、NHLで活躍するアンジェ・コピターを育てたチームは昨年倒産。国内に残るプロチームはたった一つ(EBELに参戦)です。

今回の代表チームは、その唯一のプロチーム中心に選出、、、と思いきや、国内チーム所属はたった二人で、その他はすべて国外リーグでプレーする選手から選ばれました。しかも国外組はスウェーデン、ドイツの上から二番目のリーグ、フランス、デンマーク、クロアチア、ウクライナ、イタリアなど、ヨーロッパ中堅クラスで、おそらく日本代表クラスの選手なら十分戦っていけるレベルのリーグでプレーしているに過ぎません。その寄せ集めチームが、監督・コピター父の指揮の下、おそらくほとんど強化合宿なんて組めないままオリンピックに辿り着くとは、、、それだけでもとんでもない偉業です。

サッカー日本代表などでも話題になることですが、国外組中心の代表編成は、個々に能力が高い選手を集めることは出来ても、チームとして集まって強化することが難しく、賛否両論です。しかしある程度の強国であれば、国外リーグでプレーする選手が多いのは当然で、それをどうやって組み合わせて強化するかというマネージメント能力というか戦略は必須です。

一方国外組のアドバンテージとして、国外組の何人かが最終予選で当たる国々のリーグでプレーしていたり、所属リーグに対戦相手の国々の選手が居る場合、相手国の選手の特徴を、実戦前にすでに十分スカウティングされていることが考えられます。今回のスロベニアチームにも、対戦国であるウクライナ、デンマークでプレーしている選手が含まれるので、それに近い環境ではあったと思います。

もちろん国内に十分整った競技構造があり、多くの選手が国内に留まってプレーしている場合や、個々の国際経験よりもチームワークを重視している場合は、国内で少数精鋭の強化を繰り返すことも立派な方法論であり、古くは旧ソ連の男子、少し前の中国の女子チーム、そして今回の日本女子代表チームの成功でも証明されています。

世界最高峰を決める舞台となるオリンピックで、カナダ、ロシアなどのホッケー大国が繰り広げる戦いも楽しみですが、こうして予選から勝ち上がってきたホッケー小国や中堅国が、大国相手にどんな戦いを見せるかも楽しみですね。あと一年か~!

それでは。

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